書けた
ゆくかわのながれはたえずして、しかももとのみずにあらず。
よどみにうかぶうたかたは、かつきえかつむすびて
ひさしくとどまりたるためしなし。
よのなかにあるひととすみかと、またかくのごとし。
たましきのみやこのうちにむねをならべ、いらかをあらそえる、
たかきいやしきひとのすまひは、よよをへてつきせぬものなれど
これをまことかとたずぬれば、むかしありしいえはまれなり。
あるいはこぞやけとことしつくれり、あるいはたいかほろびてしょうかとなる。
すむひともこれにおなじ。
ところもかはらずひともおおかれど、いにしえみしひとは23じゅうにんがなかに
わずかにひとりふたりなり。
あさにしにゆうにうまるるならひ、ただみずのあわにぞにたりける。
しらずうまれしぬるひと、いずかたよりきたりて いずかたへかさる。
またしらず、かりのやどり たがためにかこころをなやまし、なにをもってかめをよろこばしむる。
そのあるじとすみかと むじょうをあらそうさま いわばあさがおのつゆにことならず。
あるいは、つゆおちてはなのこれり、のこるといえどもあさひにかれぬ。
あるひは、はなしぼみてつゆなをきえず、きえずといえども、ゆうをまつことなし。